社会の変化が激しい近年、教育の形も変わりつつあります。以前はノートやプリントを使った学習方法が主流でしたが、「タブレット学習」を取り入れる学校や通信教育が増えてきました。文部科学省の調査によると、全国の公立小学校におけるタブレットなどの端末利用率は全学年で利活用を開始しているのが84.8%、公立中学校では91.3%と、ほとんどの学校で導入が進んでいることがわかります。
参考:端末利活用状況等の実態調査(令和3年7月末時点)(確定値) (mext.go.jp)
このように、これからの時代はタブレット端末を使った学習が当たり前になっていくことが予想されます。そんなタブレット学習についてメリットやデメリットを中心に解説していきます。]
タブレット学習のメリットとデメリット
学校だけでなく、家庭での通信教育でもタブレット端末を活用する教材が多くなってきました。ここではタブレット学習のメリットとデメリットを紹介します。
タブレット学習のメリット
タブレット学習にはどのようなメリットがあるか、5つピックアップしました。
(1)動画での説明があるため理解しやすい
紙教材での学習とタブレット学習の大きな違いは「動画を使った学習ができる」ということです。「読む」ということだけでは理解しづらいことや難しい問題も、動画での説明があることでわかりやすかったり、理解をより深めたりすることができます。これはタブレット学習での一番のメリットともいえるでしょう。
(2)子どものペースで学習できる
子どもの学習記録が残るため、どこまで進んでいるのか、どんな問題が苦手なのかなど簡単に確認することができます。また、一人ひとりに合った学習方法やペースでスケジュールを提案してくれる機能がついているものもあり、学習管理がしやすいのも特徴です。集団で学習する学校や塾のように「わからないまま置いて行かれる」という心配もありません。
(3)間違った問題を繰り返し学習できる
苦手な問題や間違った問題を繰り返し学習したい場合、紙の教材では同じ問題を何度もノートに書いたり、プリントのコピーをとったりと手間がかかります。しかしタブレット学習では、子どもが間違えやすい問題を繰り返し出題する機能があり、簡単に反復学習ができます。そのため苦手なところを集中して学習することができ、苦手分野の克服にもつながります。
(4)自動で採点してくれるため1人で勉強できる
自動で採点する機能があるため、保護者が忙しいときでもひとりで学習が進められます。また、解いた問題の正誤がすぐに確認できることで効率よく進めることができるでしょう。
(5)あそび感覚で楽しく取り組める
タブレット教材は、動画や音声などを使いゲーム感覚で学習でき、自ら興味をもって楽しく取り組めるようになっています。クイズ形式で正解すると音が鳴ったり、キャラクターに褒められたりと達成感に満たされやすいというのも、子どもにとってはやる気につながる大きな特徴のひとつです。
タブレット学習のデメリット
前述のように、子どもにとっては楽しく学習に取り組むことができるタブレット学習ですが、デメリットになる面もあります。デメリットを理解した上で対策を考えることも重要です。ここでは4つ紹介していきます。
(1)視力が低下する可能性がある
長時間タブレット画面をみることで、目が疲れたり視力が低下したりする可能性があります。端末の画面からはブルーライトという光が発せられており、このブルーライトが目を疲れさせるといわれています。また、画面を見続けることでまばたきの回数が減り、「ドライアイ」を引き起こしてしまう可能性もあります。
(2)健康面への影響がでる可能性がある
タブレット学習は、机に向かっておこなう紙の教材に比べて、ソファなどに寝転んだ悪い姿勢でも手軽に勉強ができてしまいます。姿勢が悪い状態が続くと、首や肩まわりの筋肉が緊張して血行が悪くなり、肩こりなどの症状がでる可能性があり注意が必要です。また、睡眠前に使用すると、ブルーライトの影響で睡眠に必要な「メラトニン」というホルモンの生成を妨げてしまい、なかなか寝付けず睡眠の質が低下してしまうことも考えられます。
(3)タブレットで遊んでしまう
普段自宅で使用しているタブレット端末を使って学習する場合、端末に入っているゲームで遊んだり動画を視聴したりしてしまう場合があります。また、教材の中にはミニゲームができるものもあり、勉強ではなくゲームに熱中してしまうというケースも少なくありません。
(4)タブレット端末のトラブルで中断してしまう可能性がある
タブレット学習では、端末が立ち上がらない、ページを読み込まない、通信障害が発生するなど様々なトラブルが考えられます。そのようなことが起きた場合は勉強が中断されてしまい、不具合が直るまでは取り組むことができなくなります。また、破損してしまった場合には、修理・交換などで長時間使用することができず、やる気の低下につながってしまう可能性もあります。
タブレット教材で学習するときのポイント
デメリットを最小限に抑えて学習に取り組むために、以下のポイントを押さえておきましょう。
(1)勉強時間を決めて取り組む
長時間、タブレットの画面を見続けることによる目の疲れを防ぐために、時間を決めて取り組むようにします。30分毎に10分間の休憩をする、勉強の合間に遠くを見る、など自分なりのルールを決めてみましょう。先述したように、睡眠の質を低下させてしまう可能性があるため、タブレット学習は寝る前ではなく、集中力が高まる朝におこなうのがおすすめです。
(2)学習環境を整える
音声を使用するタブレット学習では、周囲の雑音があると聞き取りづらくなったり集中力の低下で理解がしづらくなったりしてしまうため、静かな空間でおこなうようにします。そして部屋の明るさを調整したり、ブルーライトカットのシートを貼ったりするなどの対策もおすすめです。タブレットの画面からの距離も適切なものに調整し、姿勢も考慮した場所を準備して環境を整えましょう。
(3)保護者も様子をみたり声をかけたりする
自動採点や反復学習などを全ておこなってくれるため、保護者が付きっきりでなくても学習を進めることができます。しかし、子どもは「自分の努力を見てくれている」と感じることでやる気が向上します。「頑張っているね」「よくできているね」などの声掛けをしてあげることも大切なポイントです。
タブレット教材、選ぶときのポイント
タブレット学習の教材を選ぶ上で重要なポイントを3つ紹介します。
(1)難度よりも楽しさを重視する
まずは子どもが楽しく取り組めるような工夫が充実しているかがポイントです。難易度が高いものよりも、子どもがより楽しく学べる教材を選んでみましょう。勉強を楽しいと思うことはなかなか難しいものですが、「達成感」というのはやる気につながるひとつのきっかけになります。「できた!」という気持ちを多く実感できるほど、勉強に前向きに取り組んでいけるでしょう。
(2)お試しできる仕組みがあるか
子どもの性格によって教材にも相性があり、いざ申し込みをしても「合わなかった」と失敗してしまう場合もあります。そのようなことを避けるためにも、お試し期間が設けられているような会社を優先して選んでみるとよいでしょう。まずは、資料請求、そして無料体験をしてみる、そのうえで比較検討をするのがベストな方法といえます。
(3)コスパがよいか
毎月の受講料は家庭への負担が少ない方がよいと考える方多いのではないでしょうか。まずは教材の内容を比較し、価格と内容が見合っているかを確認します。その上で比較的安くて内容が充実していると思えるものを選びましょう。
人気のタブレット学習教材
(1)【進研ゼミ小学講座 チャレンジタッチ】
月額 3,250円~
- 担任制の個別指導、添削指導あり
- 英語やプログラミングを楽しく学ぶ機能
- 約1000冊の電子書籍を無料で読める
機能や教材が充実しておりコスパは最強といえます。
(2)【スマイルゼミ】
月額 3,520円~
- 2週間の無料お試し、全額返金保証あり
- キャラクターの演出などなくシンプルな教材
- 無学年学習*ができる
*無学年学習とは、子どもの学年で学習範囲を絞らず個人の学習レベルに合わせた教材を使用すること
キャラクター演出や付録などがなく、勉強に集中しやすいのが特徴です。
(3)【うんこゼミ】
月額 2,480円
- 10日間の無料お試しあり
- ゲーム感覚で楽しい仕掛けが満載
- 反復学習機能が充実している
勉強が苦手な子どもでも、ゲーム感覚で取り組めます。専用の機械やアプリのダウンロードが必要なく、いつでも退会OKのため気軽に試しやすいのが特徴です。
(4)【東進オンライン学校小学部】
月額 2,178円~
- 実力講師による授業が受けられる
- 全国統一小学生テスト対応
- 授業、確認テスト、月例テストで知識が定着
東進と四谷大塚がタッグを組んで生まれた通信教育。学校の勉強+αの学習がしたい子におすすめです。
(5)【Z会の通信教育 小学生】
月額 3,570円~
- 思考力を重視
- 一人ひとりの回答に寄り添う添削指導
- 「書く力」を伸ばす工夫
基本・標準をおさえつつ、教科書のレベルを超えた応用・発展的な内容を学び、思考の幅を広げる学習ができます。
まずは学習習慣をつけるきっかけとして活用してみる
や、勉強に苦手意識をもっている子どもには、勉強へのハードルを下げてくれる有用なアイテムでもあります。デメリットになる面を理解し、対策を講じて上手に活用していきましょう。