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『運動神経が悪い』は誤解 その意味と、運動が好きな子になるため8歳までに身に付けさせたい36の基本動作、親御さんの心構えをご紹介

運動神経が悪い

親御さんの中には、

「私は運動神経が悪いから、子供が私に似たらどうしよう」
「うちの子、またビリだった。どうしてあんなに運動神経が悪いんだろう?」

なんて、子供の運動神経を心配している方もいるかもしれません。

しかし、そもそも、

  • 運動神経の良し悪しには遺伝が影響している
  • 運動神経が悪い

という考え自体が誤りです。

ここではその意味と、子供が運動が好き、運動が得意、になるために必要な事、それを行うに当たり大切な親御さんの対応・心構えなどを解説します。

目次

「運動神経が悪い」は誤解

既に述べたように、

  • 運動神経の良し悪しには遺伝が影響している
  • 運動神経が悪い

という考えは間違いです。
なぜなら、運動を一手に担う「運動神経」という名称の神経はありませんし、運動ができる・できない、運動が得意・不得意は、遺伝で決まるものではないからです。

では何が、運動ができる・できない、運動が得意・不得意に影響するかですが、それは「運動経験」です。

走る、跳ぶ、投げる、登る、蹴る、などのみならず、歩く、立つ、座る、持つ、渡す、押す、引く、など、あらゆる運動や動作を司るのは小脳です。
小脳が、視覚や触覚などの情報と脳から筋肉に向かう運動指令を統合しているから、適切な運動や動作が行えるのです。
しかし運動経験が少ないと、小脳が統合を行うベースとなる情報が少なくなり、その結果、脳から全身にスムーズに適切な運動指令が送れなくなります。

これが俗に言われる「運動神経が悪い」という状態ですが、運動神経という名称の神経があってそれが運動を司っているのではない事は、既に説明しました。

また、小脳が統合を行うベースには、失敗経験もとても重要なデータです。
失敗する事で、より適切な選択ができるようになるからです。

更に、運動経験が少ない、余り運動しない事は、筋肉の発達が乏しい、姿勢が悪い、股関節が堅いといった身体的に良くない状態も作ってしまいます。
そうなると、身体的な理由が原因で適切な運動がスムーズにできなくなる悪循環が起こります。
この意味でも、運動ができる、運動能力が高い子供に育てるためには運動経験が重要だと分かります。

ところで、運動経験と言うと、

「スポーツ教室に通わせるのがいいの?」

と思う親御さんもいるかもしれません。
しかし運動経験とは、そういう事ではありません。
次章では幼児期に身に付けたい「36の基本動作」をご紹介しますが、いずれも日常生活で、或いは遊びの中で身に付く事ばかりだと言っていいでしょう。

8才までにやっておきたい運動

子供の運動能力を高めるためには、子供に多くの運動経験をさせてあげる事が重要だと述べましたが、それには時期も関係します。
実に、子供が動作を習得するピークは8歳で、12歳までに100%に達するからです。

そこで8才までにやっておきたい「36の基本動作」を以下に挙げます。
8歳を過ぎたら遅いという事ではありませんが、せっかくなのでこの認識を持って子供に接してみて下さい。

引用 https://note.com/clubpot/n/n6b08852d7ad4

この表からは、「36の基本動作」が大きく3つに分類できる事が分かります。

・バランスをとる動き・・・平衡系動作
・体を移動する動き・・・移動系動作
・用具を操作する動き・力試しの動き・・・操作系動作

引用 https://note.com/clubpot/n/n6b08852d7ad4

そして、これらはいずれも特別な事ではなく、私達が生活の中で無意識に、或いは状況に合わせて当然のように選択し行っている事ばかりだという事も分かります。
これらができなければ、時には危険から身を守る事もできなければ、それ以前に、スムーズに生活する事もできないでしょう。
これらの基本動作をバランスよく身に付ける事が、運動能力の成長に繋がるのです。

「うちの子、なんだか運動音痴みたい、運動が苦手みたい」と感じる親御さんは、お子さんが一日にどの程度どんな動きをしているかを観察してみるといいでしょう。じっとしている時間が多い傾向があるかもしれません。

運動嫌いにさせないためにするべきこと

ここまで、子供の運動能力について、運動能力は遺伝で決定されるものではなく、運動経験に影響を受けることを述べ、

  • 運動能力を高めるために必要な事
  • 運動能力を高めるために8才までにやっておきたい「36の基本動作」

について解説してきました。

しかしもう1つ大切な事があります。
それは親御さんの対応、親御さんの心構えです。
以下にそれらをまとめました。

褒める

親御さんに求められる大切な事の1つは、「褒める」です。

運動会やお遊戯会を想像して下さい。
例えば、「速く走れたね」「上手く踊れたね」などと親御さんに褒められた子供は、それが成功体験となり自信に繋がります。運動が楽しくなり好きになり、益々頑張り、その結果、運動が上達し得意になっていきます。

他方、走るのが遅い、上手く踊れず他の子供達とずれているというような子供がいれば、褒められないどころか、その様子は誰の目にも映ってしまいます。子供は、自分は運動が上手くできないんだ、身体を動かす事が下手なんだと思い込み、運動が嫌いになり運動する機会が減り、その結果、運動が苦手になります。

これらの現象は、大人でも仕事や日々の生活に当てはまる事だと共感できるのではないでしょうか。

そこで、ある運動が上手くできなかった子供に対しては、別の良いところを見つけて褒めましょう。
例えば走るのが遅かったとしても、

「諦めずに最後まで全力でやりとげたね」
「とても楽しそうに走っていたね。カッコ良かったよ」

と褒めたり、または、障害物競走なら一番だったり、玉入れやダンスが得意な子もいたりしますので、できないものを言うのではなく、良いところを見つけて、とにかく褒めましょう。

共に楽しむ

2つ目は、親御さんも共に楽しむという事です。
公園に行った時など、特に幼い子供は、お父さんやお母さんも一緒に遊んでくれる事を望みます。
お父さんやお母さんの楽しい顔や声を敏感に感じ取ります。
するとそれが、もっとやりたいという意欲に繋がり、その結果、運動経験が増えます。
是非一緒に、走ったり、跳んだり、滑ったり、投げたり、を楽しんで下さい。

運動経験は日常のいたる所でできる

さてこの記事では、「運動神経が悪い」という表現がそもそも間違いである事の説明から運動を司る小脳の働きを、子供の運動能力に影響するのは遺伝ではなく運動経験である事を述べてきました。
そして運動経験と言っても、それはスポーツクラブや体操教室などに入会する事ではなく、生活や遊びの中で行っている運動や動作が基本となっている事を解説しました。

昨今、社会は益々複雑になっています。
子供を狙った犯罪も少なくなく、核家族や共働き家庭が増え親御さんが子供と遊ぶ時間が短くなったり、転勤などで信頼できる人間関係を構築するのが難しかったりする面もあります。

しかし外で遊ばせない、或いは、「汚い」「危ない」と言って子供を伸び伸びと遊ばせない事は、子供が運動経験を積む機会を奪うと考えます。
できる限り外で、そして多くの子供達と一緒に遊ばせるようにしましょう。
遊びの中には、運動経験は勿論の事、子供同士で育む協調性や思いやり、ルールを守るといった精神的な学びが多くあります。

更に、家庭でもお父さんやお母さんのお手伝いを沢山させましょう。
子供が幼い間は、子供に手伝わせる事でかえって親御さんの手間が増えたり余分な時間がかかったりする事もあるでしょう。
しかしお手伝いも、先に挙げた基本動作を身に付ける機会になります。
そしてここにも、家族を思いやる気持ちや家族との繋がりといった精神的な学びや、先を読む能力を育む学びがあります。

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